失恋の優しさ(ジェダイになるよ)

 私は失恋の感覚が好きだ。いい感じになったり、なってなかったり、ダメ元だったり、最後に想いを伝えたかったりして、人生で何度か失恋というものをしてきた。その度に、「この人はやっぱり素敵な人だな」と基本的には思うし、「フラれたけど、世界に祝福されているな」と、温かい気持ちになる。

 先ほど、恋愛感情を抱いている女性に自分のセクシュアリティのことや身体のことを伝えてきた。やはり、「この人は素敵な人だな」と思い「世界に祝福されている」と思った。とても温かな気持ちである。

 私は何故失恋の感覚で幸せな、優しい気持ちになるのだろうと不思議に思っていたが、それは気持ちを伝えるという行為やそれを受け止めてくれるという行為(受け入れる、ではない)自体が、とても真摯で誠実なものであるからだと気づいた。

 私は人生において他人から大切にされたという感覚を持ったことがあまりなく、また他人を大切にしてこなかった。そんな中で私の「本気」を笑わずに受け止めてくれて、大切にしてくれる、尊重してくれる存在は「失恋した相手」しかいなかった。また、私も私で、あまり他者を大切にしてこなかったものだから、たまに訪れる「失恋」は改めて相手の貴重さを認識する機会であった。

 恋愛感情があっても、なくても、今まで優しくしてくれた人ありがとう。ひどい扱いをしてごめん。少なくとも今はそう思っている。世界を憎まずに生きていければいいな。失恋以外で幸せを感じられるようになるといいな。(アニメ「反乱者たち」のラストで私は号泣した。)