おわり

 高校を卒業した後、束縛ストーカー野郎に捕まった。風俗やAVの話ばかりするやつで、少女漫画育ちの私は一緒にいるのが辛かった。しかし、彼の誘いを断ることが出来なかった。どうにかこうにか逃げ出して、ケータイも着拒しても、教えてない家電に着信が来たりした。とても怖かった。自分の大切に守っている世界が壊されたと思った。

 

 私は今まで自分が好きだったものたちを愛せなくなった。自分が穢されたと思った。これ以上感性が汚れてしまう前に、死んでしまおうと思った。死ねなかった。これが1回目の自殺未遂である。

 

 今はその高潔な心を失ってしまった。現実に落ちぶれた。私は穢れてしまった。

 

 本当の破滅とは、自分自身がダメになってしまうことではない。他人の大切なもの、大切な人が本当に本当に大切にしているものを壊しても平気になることである。

 

 私は、自分自身はいくらでも壊せるが、大切な人の大切なものを壊すのは、心が引き裂かれるみたいに苦しい。

 

 自分の気持ちを守ること、自分自身が生きていくことと、他人の大切なものを守ることが両立しない場合、どちらを選んでも誰かを傷つけてしまう場合、どうしたらよいのか。何が正しかったのかわからない。

 

 肯定できない現在を、どうにかこうにか肯定して、生きていくしかない。